3月9日、日本を代表するドラマーの村上"ポンタ"秀一さんが天に召されました。
矢沢永吉、泉谷しげる、長渕剛などトップミュージシャンのサポートドラマーとしての姿、堂本兄弟での演奏が今も印象に残っています。
ポンタさんの演奏にかつて自分は「楽器が"鳴る"ってこういうことなんだ。打楽器でもここまで"色気"を出せるんだ」と衝撃を受けました。
彼の若い頃の貴重な映像作品の中でPearl(ドラムの著名メーカーのひとつ)の最も安いドラムセットで抜群のパフォーマンスをしたあと「変わんねーんだよな〜」と放った一言が忘れられません。
「弘法筆を選ばず」とは本当にこのことだなと。
与えられた環境で最高の成果を上げる姿勢。
十分ではない条件を逆手にとってより高い結果を出すプロフェッショナル。
音楽家としての本質を体現する姿にシビレました。
こういう刺激と学びを得た覚えがありますね。
視点は今朝の畑へ。
昨日ホームセンターで一株58円のレタスの苗を買ってきました。
数年前はこういうことはあまりしませんでした。
「無農薬栽培種子」で「オーガニック認証があって」というようなことに価値を置いていました。
もちろんそれは間違いではありませんし、高い精度を求める姿勢はいつでも必要なことです。
しかし、農業の経験値を積み、知識的バックボーンも加わってくると、行動が削ぎ落とされシンプルになっていきました。
様々なレタスの種子は1週間前にうちの畑にも播種してあります。
でも、もう少し早く葉野菜のサラダが食べたいので、ホームセンターでレタス苗を見かけたので買って植えることにしました。
農法を実際にやる前からアレコレ詮索しすぎたり、品質にダメのレッテルを貼るという考えと行為は、ややもすると、超複雑な自然環境変数への絶えざる思考の坂登りを途中で諦めている裏返しかもしれません(と最近は思っています。)
なぜなら、生物は思っている以上に強く、環境応答的にどんどん進化していける性質を生来持っており、刻一刻と状況は変化し、一度、二度の思考を巡らせたくらいでは絶対に本質はわかりません。
人間が「こうだろう」と仮説を立てる内容をいとも簡単に超越していきます。
「全然育たないだろう」と思った野菜が一番育ったり、期待を込めた苗が全滅したり。
現場はこういうことの繰り返しです。
野菜作りの本当の本質は一体何か?
絶えざる問いかけで成長を続けたいと思った早朝の畑。
農業にも「弘法筆を選ばず」はきっとあるんだと思います。
そこが奥深い農業の魅力な訳です。
医工学修士。信州大学大学院総合理工学研究科卒業。THE KOKONOEの経営と並行して修士課程に在籍し、先端生命科学の研鑽に励み学位を取得。植物優勢生育の条件を土壌微生物の比較ゲノム解析からアプローチし、学術と現場の両輪から探究。土づくりアドバイザー。ゴングパフォーマー。Sound Luxury 代表セラピスト。2021年より医療福祉専門学校にて鍼灸師の国家資格取得に向け研鑽に励む。
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