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醸す冬2019/01/20

SUN AND MOON

2019/01/202019:01:20:10:46:49

醸す冬

今日は雪の戸隠です。

朝のキッチンは、とにかく寒いです。常温で液体の油が固まっています^^;

しかし、冬季休業だからこそ、冬の間に仕込んでおくと勝手の良いものがあります。

それは、

農カフェここのえでは、自家製麹で作った甘酒でスムージをお出ししたり、自家製麹で作ったお味噌や塩麹を調味料に使用したりと、自家製麹を活用しています✨

都内在住時の10年以上前から自家製味噌作りをしていますが、自家製麹を作るようになったのは、移住してから。

きっかけは、私たちが師匠とお慕いする農家の大先輩が大量に麹を自家製しているのを見て、教えてもらったことです。

ちょうど、麹の作り方を教えていただいた時は、稲作をした年でした。

収穫したお米で、あまり品質はよくないけれど、捨てるのはもったいない。

そういうお米を麹にするといいよ、と教えていただいたこともきっかけの一つでした。

無駄を出さない始末の良い生活の知恵、素敵だなぁと感じました^^

自家製麹というと、ハードルが高いイメージがあります。実際に私もそうでしたが、何事もやってみることは大事。

やっているうちに慣れてくるので、少しづつ技術が向上します。感覚的にもわかるようになり、これが一番大切な部分なのだと思います。

麹作りの大まかな手順をいうと、、、、

お米を洗い、浸水させて、水を切り、蒸し器で蒸す。

蒸した米を容器に移し、適度に冷めたところで菌を混ぜる。

適温で発酵させる。

そんな感じです。

温度チェック.jpg

↑蒸した米を容器に移し、冷ましているところです。アツアツの米を36-40度まで温度を下げます。その理由は、のちにまぶしていく麹菌と関わりがあります。

菌まぶし中.jpg

↑麹菌をまぶします。これが国菌と言われるアスペルギルス・オリゼー(A・オリゼー)です。冷ます理由は、麹菌が働く適温が36-40度だからです。これより低ければ、活性化せず、これ以上高ければ、逆に死滅してしまいます。ハードルが高いと思われる理由の一つ目は、この温度管理にあると思います。ただ、温度計をきちんと用意しておけば、そんなに苦になることではありません。

発酵前.jpg

↑発酵用の木箱に、晒を敷いて、麹菌をまぶした米を入れます。前回作った自家製麹が残っていたので、発酵の活性化になるかと思い、少し加えてみました。

発酵箱.jpg

↑こんな感じにセットして、、、、

発酵中.jpg

↑発酵器に入れます。

温度はだいたい32-36度と言われていますが、ここ戸隠は室内でも夜間はマイナスになることもあります。また、発酵器に入れたのが午後でしたので、温度は少々高めにセッティングしました。

15-16時間後くらいに、発酵が活性化し、麹の温度が上がります。そのままにしておくと、菌が自分の発した熱で失活してしまうので、発酵器から取り出し、切り返しを行います。

私は当初、この作業はハードルが高いと思っていた二つ目の理由です。

しかし、これもタイマーをセットしておけば、大丈夫。心配ならば、少し早めに時間をセットして、様子を見るのも良いと思います。

醸すことおよそ48時間くらいでしょうか。

部屋の中がほのかに甘い、麹の香りが漂います^^

麹全体.jpg

↑麹が塊になっています。これが発酵が成功している証拠です。ハイビスカスの菌で大豆を発酵させて作るテンペの完成品がブロック状になるのも発酵が成功している証ですものね。

麹アップ.jpg

↑麹のアップです。菌、A・オリゼーがほやほやで育っています♬ 完成したら、ブロック状の麹をほぐしてから保存です。

私は発酵器を使いましたが、電気毛布をお持ちの方はそれを利用されると良いと思います。

私たちの師匠も電気毛布を使い、大量に麹を仕込まれていました。

まだ大量に仕込むことに慣れていない私は、発酵器を使って様子を見ながら作っています^^

今回は白米を使いましたが、様々な穀物で麹を作ることも可能です。

自家製麹は、生き物を育てているようで、なかなか面白いですよ♬

資料に基づいて細かな温度設定や時間など数値をきちんと把握しながら作ることも大事ですが、作る場所の温度などの周りの環境が影響することも多いのが麹作りの難しさでもあり、醍醐味でもあると思います。

家庭で作る分には、楽しんで^^

匂いや感触などの五感をフルに活用して、目で確認しながら作ることが、結果的に成功への近道なのかも?と思っています^^

麹作りに限らず、料理って、そういう風に作るものですよね。

さあ、大量の仕込みができるようにもう少し腕をあげなければ!

皆さんもお試しください♬

↓発酵といえば、な本。映画「降りていく生き方」で、武田鉄矢さん演じる主人公のモデルになった酒蔵寺田本家の前社長・故寺田啓佐さんの本。醸す生き方に共感し、発酵に興味を持ったきっかけになりました^^ 詳しくはいつかブログでご紹介したいです。カフェに本を置いてますので、ご興味がありましたら、ご来店時にお手にとってお読みください♬

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THE KOKONOEシェフ 水谷 江希

THE KOKONOEシェフ水谷 江希

小中高をシンガポール・アメリカで過ごし、絵画修復士となるため奨学金を得てシカゴ美術館附属美術大学に合格。両親の都合で帰国し、筑波大学に入学。卒業後、外資系メーカーに入社し、プロダクトデザイナーとして働く。その後食の世界へと転身し、料理教室の開催・講師業を務める。2020年、シェ・パニースへインターンシップのため渡米。料理研鑽に励み、現在に至る

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