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現在の観光産業に思うこと2020/08/02

SUN AND MOON

2020/08/022020:08:02:13:04:42

現在の観光産業に思うこと

やっと梅雨明け宣言が出されました。
ここ戸隠高原はまだ少しジメジメ感が残り、パリッとしない気候です。

少しづつ戸隠にお越しになるお客様が戻りつつある中、全国的に第二波が言われています。

THE KOKONOEでは、すでにご予約いただいたお客様に安心・安全にお過ごしいただくため、手指消毒やスタッフのマスク着用にご理解をお願いしている次第です。

また、早めの夏季休業に入らせていただき、ハイシーズンに向けて、施設清掃を含めた敷地内整備など、万全の準備を行い、お越しいただくお客様に快適にお過ごしいただければと思う所存です。
何卒ご理解くださいますようお願い申し上げます。

戸隠にお越しの際は、戸隠観光協会が定めたガイドラインに沿って、ステイセーフでお越しいただければ幸いです。

しかし、飲食・宿泊を含めた産業に先行きが不透明なのは、全世界共通のようです。

日本政府はGoToトラベルを実施し、観光産業の復興を目論みましたが、東京は除外になる等、キャンセルが相次ぎ、代理店が対応に追われるだけで、あまり功を奏していないように見受けるのは私だけでしょうか。

そんなタイムリーなGoToトラベルについて興味深い動画がyoutubeで配信されていました。
本来このブログは、食と健康をテーマにするブログではありますが、THE KOKONOEのレストランも観光産業の歯車の一つでもありますので、スルーできない内容と思い、シェアします。

内容は、2ちゃんねるでおなじみの現在フランス在住のひろゆき氏と星野リゾート社長の星野佳路代表がメインで対談されています。

星野リゾートでさえ、コロナ禍で倒産確率30%を公言するほど、観光産業は落ち込み、廃業を強いられるケースが後を絶たない状況です。

この対談では、日本リゾート界の帝王と言われる星野代表の発言から


●本当に必要な支援はなんだったのか?

●観光産業に携わる人々が政府頼りになるのではなく、何をしなければいけなかったのか?(現在進行形ですが)

●これからの観光産業はどうあるべきなのか?

等々、見えてくると思います。

この中で、星野代表の「リゾート論」に大変共感し、多くの観光産業に携わる者にとって、ヒントになる材料がたくさんある内容と感じました。

星野リゾートといえば、軽井沢。

軽井沢町といえば、民泊施設設置は認めない町。
その理由は、風紀を乱す可能性があるからとのことですが、これに対して、星野代表は「民泊がない地域は価値を下げる」(*1)と批判したことが強く思い出されます。

というのも、

この時同じくして、THE KOKONOEの民泊電申請が受理され、長野県で初の民泊(住宅宿泊)事業者になった時期と重なります。

ですので晴れて民泊事業者となった途端、耳にした「民泊=風紀を乱す」、という内容を残念に思ったことを今でも覚えています。

民泊の発端は、オリンピックのインバウンドでの宿所確保の手段と言われていました。
軽井沢町からしたら、貸し別荘で海外からの方々がどんちゃん騒ぎをし、地域住民や他の宿泊者に迷惑をかけられたら困る、という意図があり、設置を認めないという判断をしたと解釈しています。

軽井沢は伝統的なリゾートであり、昔ながらの宿泊所が存在しています。
安価な民泊にお客様を奪われることを懸念されている背景も少なからずあったのではないかと勘ぐる部分も正直なところあります。

THE KOKONOEは管理者が居住する民泊ですので、どんちゃん騒ぎはまずありえません。
当館もそのような悪い意味での自由さはコンセプトにしていないことや宿泊人数が限られるので、お客様でそのような騒ぎをする方は、過去そしてこれからもいらっしゃらないと断言します。

要は何を言いたいかというと、観光産業が衰退している現在、星野代表が言う通り、民泊施設を認めないという判断は正しかったのでしょうか?と思うところがあります。

私がこの地に移住する前に短期間山梨県に住んでいましたが、近くに清里がありました。

バブル期は坪単価500万円でしたが、今では3万以下だそうです。

80年代にメディアに取り上げられたことで、アンノン族の聖地となり、原宿化した清里も、バブルが弾ければ、訪れる人が急激に減り、シャッター街と化しました。

私が山梨県に住んだ頃、萌木の村ロック以外、清里の駅前はすでに何もないような状況でした。

清里は、ポール・ラッシュによって開拓され、歴史の古い町であり、その点は軽井沢とも近いように思います。

星野代表は、その軽井沢の未来を案じるかのような苦言、「民泊のない地域は価値が下がる」(つまりは、衰退する)は、どの観光地でもこの時代はありえるような気がしてなりません。

観光産業のインバウンドだけに頼らない、マイクロツーリズムの見直しやコロナ禍のニーズをいち早く掘り下げ、感染爆発しない最低限のラインはどこなのか、観光地や観光産業従事者自身が見極め、厳しい時期こそ、この産業をなんとか維持していく必要があるのではないかと思います。

それは、必ずしも大きな旅館や宿所、アクティビティ施設だけの話ではなく、お客様のニーズを拾っていれば、小さな規模の産業従事者(例えば民泊も含む)にもその一端を担う可能性があるということではないかと。

こんな時代だから、これからは大きなビジネスの横展開は難しいかもしれません。

その代わり若い人が参入しやすく、変化に小回りのきくスモールビジネスが地域に根ざせしていくこと、根ざしていける土壌があること、コミュニティの柔軟性や団結力もポイントかもしれません。

こんな時代だからこそ、観光産業は、どんな小さな事業も地域存続につながっていくということではないかと。

THE KOKONOEは、小さなお宿とレストランですが、お客様に喜んでいただくことは当然として、どんな時代にも惑わされない自分たちの価値を、マイペースに創造しながらも、観光産業の一端の役割を果たせるようこれからも事業を精進して参る所存です。


*1:IT media ビジネスオンラインよりhttps://www.itmedia.co.jp/business/articles/1804/11/news139.html

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THE KOKONOEシェフ 水谷 江希

THE KOKONOEシェフ水谷 江希

小中高をシンガポール・アメリカで過ごし、絵画修復士となるため奨学金を得てシカゴ美術館附属美術大学に合格。両親の都合で帰国し、筑波大学に入学。卒業後、外資系メーカーに入社し、プロダクトデザイナーとして働く。その後食の世界へと転身し、料理教室の開催・講師業を務める。2020年、シェ・パニースへインターンシップのため渡米。料理研鑽に励み、現在に至る

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